理梵


染色職人:Ansai
色番号:ART006

「形のない多義性な概念」を「朧」とし、それをテーマに染めを行った作品。

【理梵】(リボン)

「理」とは、中国哲学・思想史上の基本概念のひとつで、物事のすじめ、条理、筋道を言います。

本来、理は、璞(あらたま)を磨いて美しい模様を出すことを意味し、そこから転じて、「秩序、道理、理法」などの抽象的・哲学的な概念をも表しています。

「梵」とは、ヒンドゥー教またはインド哲学における自然的世界・宇宙の根本原理のことを言います。

自らが歩む道は1本ですが、その道は幾重にも重なり、重なることで不明瞭なものにもなります。

しかし、その道に包まれて自らが成り立つという思いも込めて、その先を少しでも明るく照らせるような染めを目指しました。

また、財布などの革小物全般の本来の用途である「包む」というものも表現し、帯で包まれているかのような染めに致しました。

そこから「理」と「梵」、そして、包むものであるリボンをかけて、「理梵」と名付けました。

【染色】

革の璞(あらたま)と言えるベビーカーフのヌメ革を使い、一つの色を幾重にも重ねることで、単色でありながら色の深み・奥行きのある模様を出した染めになります。

また、革自体に磨きを加えることで、タンニン鞣し革の持つ色の深み・艶を最大限に引き出した加工を行っております。